隠岐牛メイン
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  平成28年12月までの出荷成績

  • 出荷頭数 1534頭
  • 5等級率 (*) 44%
  • 4・5等級率 (**) 81%
飯古建設
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アモウ

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日本に来て、島で出会った天職

私がミャンマーから来日したのは今から23年前の1993年8月、20歳の時でした。 始めは主に関東圏で土建業の仕事をしていました。

そして東京で島根県出身の妻と知り合い結婚、四人の子どもをもうけ、2006年10月に伸び伸びとした子育てとスローライフ実現のために、ここ島根県隠岐郡海士町に来島し、飯古建設の定置網事業部に入りました。

漁師は始めての経験でしたが、故郷で父が水産業を営んでいたこともあり、漁業には親近感がありました。 そこで当時の漁労長のもと、一から大敷(定置網)のことを学び、漁に取り組んできました。 海上での業務は危険を伴うこともありますが、私には性にあったのか、文字通り水を得た魚のように動き回ることが出来ました。

 

自然、海、魚、網と向き合うこと

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定置網漁とは、沿岸部の決まった場所に沈められた固定式の網に入ってきた魚のみを獲るという、自然に寄り添ったエコな漁法です。

あらかじめ設置した網に入った魚を船にすくい上げ、水揚げ、箱詰め、出荷と一見単純な作業を行っているようですが、その背景には様々な要素が散らばり、絡まり、大変難解なパズルを解いているようです。何と言ってもその表情が一日として同じではない「自然」が相手なのですから…。

天候、風の方向と強さ、波のうねり、潮の流れ等の状況によりその日漁が出来るかどうか、どの網を上げられるか(現在2カ統)が決まります。

いざ漁ができたとして、次に考えなければならないのはここが離島であるということです。獲った魚は地元でも買われますが、多くは本土境港の市場へ出荷します。魚を載せて本土へ向かうフェリーは午前と午後の一日2回、鮮度のよい魚を翌日のセリに間に合わせるためには遅くとも午後便に積み込まなければなりません。魚を積んだトラックを無事フェリーに載せるための逆算をはじめつつ漁に臨みます。

魚をすくうポイントである網の終点まで網をたぐりながら獲物を追いつめていく過程はいつものことながらワクワクします。捕れる魚の量と種類は季節や日によって異なります。私たち大敷の稼ぎ頭は初夏の真アジと冬のシマメ(スルメイカ)です。魚食離れが叫ばれる今日、旬の魚の美味さをもっと多くの人に味わってもらいたいといつも思っています。

話が少しずれましたが、漁獲量を左右する要因として最も重要なのが網の管理です。海の中に沈めている網は必ず汚れてきます。その汚れにより網の中が暗くなり魚が入らなくなりますし、汚れで網が重くなることで余計な負担がかかり、網が破れたり張り物の綱が切れたりすることもあります。ですから定期的に陸に揚げ、洗浄、修理を行わなければなりません。モノによっては数百メートルある網を船に引き上げ、陸揚げし、クレーンで移動させながらの一連の作業は工事現場さながらの様相です。普段は海に沈んで見えない網の立体的な形を想像しながら陸に上げられた網を見て修繕を行います。網修理は慣れるまでは時間もかかり、形もよくありませんが、獲物を逃すまいと精進すると次第に上達し、楽しくなってきます。ここも腕の見せ所ではないでしょうか。

魚を捕るのが漁師の仕事、魚に触れているところがメインのようなイメージですが、定置網ではこの網に触れる、網のメンテナンスこそが一番重要な仕事であると今強く感じています。

 

これから私たちに出来ること

 

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現在、従業員は20代から50代までいますが、私を除いた全てのメンバーが5年未満の漁師経験です。前職は私も含めて全員が全く異なる分野です。しかし、ここ海士町において定置網漁師を生業とする生活スタイルに魅力を感じ集まってきた仲間です。漁師という経験と知識がモノを言う世界で従事することの難しさはもちろんありますが、後継者が少なく日本漁業の衰退が危ぶまれている今、私たちのような者にこそ出来ることがある、新しい風を吹き込むことが出来ると自負しています。

日本漁業の衰退ということを申しましたが、マクロ的には漁獲量は以前と比べて激減しています。また市場での魚価も昔と比べると極端に安くなっています。船の燃料費の高騰などを考えると、漁をしただけ赤字になるという状況です。漁師の家庭から後継者が生まれづらい状況にあるのも無理はありません。ミクロ的には、周囲と比べてこれと言って珍しい魚が入るわけではない私たちの大敷網で、一日経っての市場でのセリ、輸送にかかるコスト増と、先に述べたものにさらにマイナス要素が加算されます。しかし海士町には日本に先駆けてCAS冷凍技術を導入し(私たちの真アジやイカも多くCAS凍結センターに出荷しています)、圧倒的鮮度と付加価値をつけ、離島のハンディキャップを克服し成功した例もあります。私たちも行政、漁協、個人漁師の皆さんとも連携し、六次産業化も視野に入れつつ、何とかプラスに転じる策を打っていきたいものです。

漁業はこの島の基幹産業の一つです。この島から漁業をなくしてはいけないという思いから、建設業でありながら廃業寸前であった定置網を買い取り、今に存続させている社長の気持ちも汲み取り、何とか大敷を盛り上げていきたいと意気込んでいます。


(2015年6月現在)